「どうして、俺が家に帰らないといけないの? 俺に見つかったら困るものでもあるの? ここに」
「…あるよ、あるから、帰って」
「ああ、いいよ。晴がそういうなら、帰ろうっと。その代わり、近藤先生だっけ。朝さ一緒にいた人。可愛いよね。すっごく、可愛かったよね。声かけてから帰ろうかなぁあ?」
つまらなさそうに兄さんはそう言って放送室から出ようとした。
俺はとっさに放送室の入口を塞いだ。
「近藤先生に、話しかけるな!」
「……ふぅん。なんで?」
「め、迷惑だろ。あの人優しいから、気を使うじゃないか」
「うんうん、でも、それは晴の意見だろ。実際に話したら、意気投合しちゃうかもよ?」
「………兄さん、俺の恋人は、その近藤先生なんだ、だから、たとえ兄さんであっても、気軽に話しかけて欲しくない!」
「そうなの? じゃあ、他はいいわけ?」
「いいよ…それは俺がどうこういうことじゃない。でも、やっぱり、先生は俺のものであってほしいなんて思っている。だから、身内の兄さんくらいは俺が足止めしてやる」
「そんなにも、近藤先生が好き?」
「好きじゃないのに、ここまで想うわけがないだろ!」
「じゃあ、どうして俺にちゃんと紹介してくれなかったんだよ」
「それは兄さんが先生のこと、いじめると、思ったから…それに、俺と兄さんの問題に先生を巻き込みたくなかった…それだけ」
「あらら、まぁーそんなにも近藤ちゃんのこと愛してくれているんだね」
「………え?」
俺は兄さんの近藤ちゃんという呼び方に違和感を覚えた。
何、その親しげな呼び方!
「じゃあ、そろそろ、出といでよ、近藤ちゃん」
「え?」
兄さんはそう言うと何の遠慮もなく、俺の前で放送室にあるロッカーを開いた。




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