そして二時間目、全校生徒が体育館に集められて、俺の兄さんの話を聞いた。
普通にしていたら、ただのすごい人なんだ、兄さん。
面白くわかりやすく、かつリアルな社会の話を聞けて、勉強になったと朝から怒っている俺でさえ、感心してしまった。だが、
「で、だ、俺の社会の話はここまでで俺は君たちに聞きたいことがっ…」
「以上、卒業生、遠山さんのお話でした」
「…………」
俺たちは唖然と舞台を見上げていた。
兄さんが話を終え余計なことを話そうとしたら、俺のクラスの担任が出席簿で兄さんの頭を彼に叩き、にこやかにそう言って退場していった。
「よかった…」
余計なこと言われなくて。
このまま平穏に今日は過ぎて、いつか、兄さんの記憶、みんな忘れてくれたらいいのにって俺は思った。
が、いつだって兄さんは俺の上をいく馬鹿な人だった。



*****


お昼休み弁当をのんびりと食べていたら、校内放送が流れた。
『遠山晴くんの恋人は至急俺の元までこおぉい!』
「………」
「……遠山、あれ、兄さんじゃないか?」
「あ、今日、進路の説明していた人?」
「いや、朝、通学路の真ん中で、ブラコン告白した人だろ?」
「えー、どれが本当なの、遠山」
クラスメイト達は口々に兄さんの話をする。
俺は、にこやかに顔を整えると「全部、本当だよ」と言った。
そして、次の質問が降ってくる前に、俺は放送室へと走り出す。




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