「聞いたぜ、お前の兄さん、最高だなっ」
教室で一時間目の選択が同じ内田は、腹を抱えて笑った。
噂、何処まで広がってしまっているんだろうか。
だいたい、いじめられていないかって…いうか、
兄さんのせいで俺はいじられていたんだよ、いじめはなかったけど。
「でもさ、あんなにも綺麗だと、許してしまいたい気になる。というか、もう、何でもいい気がする。イケメンパワーだな。逆に奇行は愛すべき特徴だな。ああ、そうだ。まじですげぇー」
うっとりとした内田の顔を、俺はシャーペンでつつく。
「内田、俺のことも考えてくれ…」
「ま、同情はするが、いいな、兄さんの写真とかくれよ?」
「本人ならいつでも渡す用意はしてやってもいいぞ?」
「いや、悪い、俺にはちゃんと本命がいる。あの本娘だから」
「知っているよ、言っただけ」
「でもどうするんだ、紹介すんのか、兄貴に恋人をさ」
「するわけないじゃん。先生が困るでしょ」
「確かに困るだろうけどな…けど、難しい話だぞ、これ」
「そうか?」
「……とりあえず、内田様から忠告。絶対に先生にはちゃんとその話をして、一緒に考えるんだからな! じゃないとまた変なすれ違いになるぜ?」
「なるわけないだろこれくらいで」
俺も先生もあの時の二人じゃないんだし。
そう言ったら「それもそうかな」と内田は笑った。

ほら、大丈夫だろ。

いちいち面倒なこと先生にお願いしたくない。
きっと俺が兄さんに先生のこと紹介したら、
兄さんは先生のこといじめそうだし。

そんなの、耐えられない。




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