とんでもないタイミングで先生が現れてしまった。でも朝から会えた嬉しさで俺は気楽に「一緒に行きましょう」とほほ笑んだ。
兄さんは俺の後ろで「恋人に会わせろ!」と駄々をこねている。
「あの…遠山君」
心配そうに先生は後ろに目線を送る。
俺は「後ろの人は無視して下さい」と言った。
正直、兄さんがこんなにも面倒なものだと思ったことなんてなかった。
「晴、俺のこと、なんで無視すんの!」
「無視なんてしてない、兄さん、しつこいよ!」
「ひどいよ、なんでそんな風に、昔は俺のこと好きだって言ってくれただろ」
「……はいはいそうですね」

「俺、本気でお前のこと好きなんだぞ!」

「…え?」

「「……………」」
「「……………」」

俺も周りのも、衝撃のあまり、しばらく動けなかった。
だが、兄さんは真剣な顔をして続ける。


「いいか、恋人出来たって言うなら、俺が納得のいくように、紹介しろ!」


28歳のエリート。
外見は申し分なく完璧に美しい、
俺に全く似ていない兄さんは、
朝から堂々と、たくさんのギャラリーの前で、
俺に喧嘩を売ったのだった。




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