12
「……あれ、先生、好きな人いたんじゃ…なかったでしたっけ?」
ふと俺は仲直りできたんだと嬉しそうに話していた先生を思い出して聞いてみさら、後にそれは俺のことだとわかった。
勘違いしていたんだ。
ずっと。
俺が嘘を積み重ねた分、先生も嘘を積み重ねたから、
「馬鹿だったんだなぁ…」
どちらかが素直になったら、勇気を出していたら、
俺たちはもうすでに手を繋げていたのかもしれない。
でも、今まで積み重ねてきたことが無駄だったなんて思わないよ。
すれ違って傷ついて、それでやっと今日がきた。
「夢見たいです…」
ぐちゃぐちゃだった感情が安らいで俺は瞳を細めた。
先生はただそんな俺の手を優しく握ってくれる。
世界に二人しかいなんじゃないかって錯覚してしまいそうだった。
「先生、これからは…全部俺に話してくださいね、辛いこととか。聞きますから」
「それは遠山君も」
「お互い、様ですね」
「そ、だね」
そう言うと二人して微笑みながら顔を寄せ、じゃれあうようにキスをした。
第二話 完結
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