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俺が先生のことが好きだって、必死になって告白したら、先生は何も言わずに歩きだしてしまった。
やっぱりそうだよな。
俺と先生じゃ釣り合わない。
それに、男同士だし…
先生には好きな人がいたんだっけ?

最後に俺が出来る優しさは、離れて行く先生を引き止めないことだと思った。

でも、先生は俺から10メートルほど離れたところで振り返って、
俺に手招きしてくれた。

「あ、行きます」
俺は先生が入った部屋に続いて入る。
「ごめんね、さっきは話の途中で」
埃臭い部屋の中で先生は弱々しく笑った。
どういうつもりですか、俺も立派な男子ですよ、こんなところにいたら、うっかり襲ってしまうかもしれません。
いや、立派な男子ならこれくらい耐えるものだろうか。
好きな人と二人っきりで人気がなくても立派なたち振る舞いをしないと。
俺は前に出そうな手をとりあえず後ろで組んだ。
先生はそんな俺をじっと可愛らしい瞳で見つめて不思議そうに首を傾げた。
そりゃ…おかしいだろうな、俺。
「ね、遠山君は恋愛感情で俺のこと好きなの? 違ったら違ったでいいし」
「恋人にしたいってずっと思ってました」
ここまで来て今さら嘘をつくなんて俺には出来なかった。
誤魔化しても誤魔化しても、感情は溢れてくるって知ってしまったんだから。
それならいっそ、本当のことをさらけだして、嫌われたほうが、すっとするはずだ。
俺は先生に嫌われたくないから恋をしているんじゃなかったんだ。
ただ、純粋に好きだったんだ。偽りなく。




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