……無防備に抱きつかれて、俺は、強く抱きしめ返した。
先生は痛いって言ったけど、強く抱きしめた。
俺、泣いているから、そんな姿見られたくなかったんだ。
格好悪いな、本当に、俺。



******


次の日、学校に行くと、校門で内田が俺を待っていた。
「よ、遠山、昨日はもちろん上手くいったよな!」
「何が上手くいったっていうんだよ。俺、まだ何が何だかよくわからない」
内田が先生のこといじめたりしてないってことはわかったけど、電話口の先生の辛そうな『助けて』の言葉を思い出す。
「まぁ、俺はそれを説明するためにここで待っていた」
「じゃあ、どこから説明してもらおうか…」
「そんなん、俺が一から説明するに決まっているだろう。とにかく、遠山の一時間を拘束するぞ?」
「………お前、受験大丈夫なのか?」
今から、一時間というと授業に差し掛かる。内田はあまり頭がよくないから内申を頑張るって前言っていた。
「ば、遠山、心配されるほど馬鹿じゃねぇよ」
「そうか」
「それに、今からじゃないって。放課後だ放課後」
「待てないかも…」
どうしても気になって仕方ない。なんだか、パズルがまだ完成していないような、むずむずさがある。
「ちっ、遠山がそんなにも言うなら、いいよ」
「え、でも授業は…」
「それも大切だけど、俺は友達をとるな、一生損しても遠山を取る」




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