「楽しみにしているよ、サラリーマンの、遠山」
くくっと笑いながら電話が切れた。
俺は少し立ちつくした。

でも、何もかも殴り捨てるつもりで家をとび出す。
何がどうなっているのかわからないけど、俺は先生のことが心配で走った。
きっと俺が嘘をついていたとか知ったら、それはそれで傷つけてしまうかもしれないけど…でも、俺はそんなことよりも先生そのものが大切だ。
内田はいい奴だと思っていたけど、さっきの電話で、先生に危害を加えているとしたら、内田のほかに居ないと俺は結論付けた。

「……くっ」

普段、運動しない俺の身体が早くも悲鳴を上げ始める。
でも、だからって、スピードは落とせなかった。

そうして無理をしてたどり着いた公園には、泣きじゃくっている近藤先生と、それを優しい瞳で支えている、内田がいた。
あれ…俺はてっきり、てっきり…内田が先生のこと犯そうとかしているんだと…思ってしまったけども、違ったのか?

「あ、遠山、こっちだよ」
いつも通りの明るい内田の声が響く。俺は警戒した。
「遠山、変な警戒やめろって、俺は、演技が上手いだけ。それに俺、遠山も近藤先生も大好きだよ、だから、傷つけたりするわけないじゃん」
「……いらいらするって、俺見てたら」
お前はそう言ったのに?
「馬鹿、いらいらするのは、お前が傷ついているからだろ。いっつもいっつも、泣きだしそうな顔してさ」
「内田…」
「心配していたって言ったら信じてくれるか?」




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