「運命の赤い糸、か…」
ふと昔の兄さんの言葉を思い出して、俺はセンチメンタルになる。
自分の手をどんなにくまなく見つめても、俺の指からは赤い糸なんて出ていない。絶対に、誰とも繋がっていないのだ。ということは兄さんと繋がっていることもないんだろう。
「はぁ…」
リビング一人そうして落ち込んでいたら「青春?」と俺の前に姉さんは顔を出した。
「びっくりした。急に現れないでよ」
「何よ、いいじゃないの。家族なんだから、どこにいつ現れても」
「まぁそうだけども」
「ね、ね、どうしたの。さっき、一人で何を…赤い糸とか言って、溜息ついていたの。お姉さんに教えなさい」
「嫌だよ…」
「ケチ」
子どもみたいに姉さんは頬をふくらまして、寝ぼけ眼のまま洗面所に向かった。今は朝の10時。姉さんの休日にしてはずいぶんとお早いお目ざめだ。
ということは…
「今日はおでかけするの?」
俺は気になって朝のトーストを加えている姉さんに問いかける。すると姉さんは「そうなの可愛い子ちゃんで遊ぶの」と上機嫌だった。
そうか、可愛い子ちゃん『と』遊ぶのではなく、可愛い子ちゃん『で』遊ぶのか。
「何処に行くの?」
「何処に行けば楽しいかな…そうだ、まなかは?」
「兄さんなら、ちょっと前に電話がきて出ていった」
「うっそーん。まなかにデートプランとか考えてもらおうとしてたのにぃ」
「あはは、自分で考えなよ?」
「私に女の子が楽しい遊びなんてわかんねーよ。ラブホ直じゃだめかな?」
「デリカシーを持った方がいいと思う。姉さんは」
「よく言われる」




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