昔…俺が小学生の時、兄さんは言っていた。
この世界のどこかには自分と赤い糸でつながった運命の人がいるのだと。
『じゃあ、お母さんがお父さんと違う男ことの人と駆け落ちしたのは、その人が運命の人だったから?』
幼い俺は兄さんに言っても、いいことと、悪いことがまだわかっていなかった。
『違うよ。母さんには赤い糸なんてないんだ』
『どうして?』
『あったとしても、自分で切っちゃったんだ』
『切ったの?』
『そうだよ、ちゃんと約束を守れない人には、運命なんてないんだ』
だから、メグミは母さんのようになったら駄目だよって兄さんは言った。
俺はその意味がよくわからずにいた。

俺が中学一年生になった時、兄さんは中学三年生になってしまっていた。
やっと兄さんとまた同じ学校に通えると喜んでいたんだけど、それは後一年だけっていう条件付きだ。
『永遠がほしいよ』
俺は兄さんのいる前でそう言ってしまった。
すると兄さんに『永遠は難しいよ』と苦笑いされた。
俺がガキだから、兄さんはそんな顔をするのだろうかと思った。
まだ俺は知らなかったけど、兄さんはこの頃から、たくさんの彼女を作るようになっていた。

俺が中学三年の時、兄さんがはじめて家に彼女を連れてきた。
この人が兄さんの運命の人なのかなって俺は悲しくなってしまった。
いい加減、兄さん離れしないといけないなと俺は溜息をつき祝福しようとした。
だけど、月日がたつと、兄さんの彼女は俺にも好意を寄せてきた。
『好きになっちゃったの…』なんて言って、くるようにもなった。
俺はそんな女を前にして、気持ち悪くなってしまった。
あんなにも兄さんにべたべたしていたくせに、簡単に俺にもそういうこと言うのかって、つい、怒鳴ってしまった。




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