第四話


思わず、買い物袋を落としてしまった。
兄さんは確かに今俺のこと好きだって言ってくれた。
でも、昨日は、昨日は…

「からかわないでよ、俺、本気なんだよ?」
兄さんは意味をわかって言っているのか、それとも俺のことからかっているのか。どちからって考えて、俺はからかっているほうが断然に確立が高いんじゃないかって思った。

だって、昨日は、兄さんは俺のことは好きだけど、弟して好きだって言ったばっかりじゃないか。

「……からかってないよ」
なのに、半泣き状態で、兄さんは俺を見上げる。
俺は身体の芯がぶれるのを感じた。
「え、わぁ…っ」
「兄さん、ちゃんとわかって、言っているの?」
床に兄さんを押し倒して、俺は靴も脱がずに兄さんの上にまたがった。
後で床を掃除しないといけないなんてこと、この時は考えもつかなかった。
それだけ、俺の意識は兄さんにいっていた。
「…今日の朝、俺が兄さんのを見てどう思ったと思う?」
俺は兄さんに顔を近づけて耳元で囁いた。兄さんは小刻みに震えている。
「触りたいって思ったんだよ、ね、意味、わかってくれる?」
そう言って俺は兄さんのそれに手を伸ばしかけてやめた。
俺は兄さんを困らせたいわけじゃないし、怖がらせたいわけでもない。

ゆっくりと俺は兄さんの上から降りると「ごめんね」と謝った。
兄さんは床に転がったまま、
「触りたいなら、触ればいいじゃないか」
と泣き出してしまった。




- 37 -


[*前] | [次#]
目次に戻る→


以下はナノ様の広告になります。
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -