「何人もいる彼女さんの誰が主義とかあるんですか?」
彼女はちょっと冷えた声で言った。なんだ、バレていたのか…
「さぁ、俺は兄さんとそんなに居ないし、そこまで深い話もしないから、わからないけど、俺なんかより、彼女とのメールや電話を優先しているからね」
だから、俺のこと大好きなんてあるわけないです。もしもちょっと特別に感じる節があるとしたら、兄弟だからじゃないですか、と俺は言った。
すると北条さんは「女の感の方が鋭いと思う」と呟いた。

「たぶん、私だけじゃなかったはずですよ。メグミくんに嫉妬してこちらから付き合ってって言って、付き合いだしたら、まなかさんにばれるようにして、メグミくんの好感度を落とそうとか、気に入られる術を探そうとか、考えた馬鹿な女の子は」
「ずいぶん、正直な言葉だ…でも兄さんは別にそんなにも俺に執着なんてしていないし、安心していいよ」
自分で言っておいて胸が痛い。そうだよ、どうせ、兄さんは俺のことなんて…。

「あーあ、これだから男の人って嫌。どうしてそんなにも、自分の気持ちとか、人から言われたこととか気がつかないのかしら」
「……悪かったね」
「あ、ごめんなさい。責めたつもりはあったんですが、怒らせるつもりはなかったんです」
飄々と北条さんはとんでもないことを言う。

「てっきり、二人は関係を持っているんだと思ってました」

「え、関係って、何…それ」
「恋人みたいなことしていたんじゃなかってことです」
「まさ、か、なんで、俺と兄さん、血のつながった兄弟だよ!」
そんなわけがないと俺は反論した。
すると北条さんは苦笑いした。
「兄弟でもなんでも、キスの一つや二つ、それにヤる気になればヤれます」




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