俺は姉さんの手を払うと、アイスを買いに行くと言って家を出た。
北条さんと二人でちゃんとお話がしたいと思ったんだ。
きっと、もう少ししたら、後ろから北条さんは俺を追ってくるはずだ。
家を出てすぐ、俺は足をとめて彼女を待った。
「あの、メグミさん、荷物持ちに…あ」
勢いよく飛び出してきた彼女に俺は笑いかけた。彼女は俺を見ると、安心したように息をついた。
「ありがとう、一緒にコンビニだけど行こう」
「…はい」
少し距離を置いて北条さんは俺の隣を歩いた。

北条さんは今も俺を見ては悲しそうな顔をしている。だけど、彼女は俺に対して好意なんて微塵も持っていない。それは、なんとなくわかる。
だとしたら、彼女は…
「兄さんのことで俺と話したいことあったのかな?」
「え、なんで、それを?」
「なんとなく、北条さん見ていたらわかったんだ」
「そ、そうですか、じゃあ、あの、いいですか?」
「うん、いいよ」
もしかしたら俺が兄さんのこと大好きだってことがばれていて彼女に「兄弟で気持ち悪いんだよ」と怒られてもいい。俺はあらゆる面で覚悟を決めて、北条さんと向き合った。だって、北条さんなら、俺、悔しいけど兄さんのことまだ任せてもいいような気がしていた。だってだって、この子は兄さんのこと、本気で本気で大好きなのだから。

「まなかさん、メグミさんのことすごく好きじゃないですか。どうしてなんでしょうか、それがとても知りたいです」
「え…?」
聞き間違いじゃなかったよな。
兄さんが俺のことすごく好き?
「まさか、そんなわけないじゃん、兄さん彼女さん主義だよ?」




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