午後七時。四人でテーブルを囲ってご飯を食べた。普段は俺と姉さんか、もしくはほとんど一人ぼっちの晩ご飯だから、不思議な気がしてならない。
その後、食器を片づけていると、とぼとぼと兄さんが俺の方に寄ってきて「パスタありがとう」と伏せ目がちに言い、俺の返事も反応も見ずに、北条さんのところに戻って行った。その時、北条さんと目があった。
「…?」
北条さん、ものすごくさびしい顔をしていた。兄さんが北条さんの隣に座り話しかけると、楽しそうに笑いはじめたけども…
俺は、少し、北条さんが心配になった。

だって、まるで北条さんが俺みたいに見えたんだもん。

「ちょっと、メグミィ〜北条ちゃんのこと見つめて、駄目だよ。北条ちゃんは私のなんだから!」
急に姉さんが俺の前に現れる。
「誤解だよ。て、いうかね、姉さん。北条さんは兄さんの彼女さんだよ」
「あら、そうだった。忘れていたわ」
じゃあ、手を出したら駄目ね、と姉さんはしんみりと頷いた。
「…彼女、できたんじゃなかったの、姉さん」
「ふられたの」
「そ、そうなんだ…」
「でも平気よ。どうせ、私だって本気じゃなかった…」
寂しそうな顔をして姉さんは笑う。昔みたいに泣きじゃくって、しばらく部屋から出てこないことにならないだけ、まだ俺は安心した。
「正直、まだ、あの子のこと、好きなんだ。馬鹿みたいだね。そりゃあ、ふられるわ。うん。しゃあないんだ」
女々しいなーと言いながら姉さんは俺に抱きついてきた。意味がわかりません。兄さんならともかく、姉さんが俺に抱きつくなんて、何か悪いこと考えているとしか思えない。
「え…」
なんで、北条さん、こっちを見て、そんな悲しそうに…?




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