「じゃあ、潔癖症なんでしょうか?」
北条さんはすがるように聞いた。
「かな…一緒に暮らしている姉でもよくわからないけど、そういうところはあると思うよ、ね、メグミ」
「ああ」
心の中ではそんなことないと思いながら、俺は姉さんの言葉に頷いた。

「なら、いいんです」
ホッとしたような声で北条さんは言った。
俺と姉さんは何がよかったのかと不思議に思った。
「わ、ごめんなさい。不謹慎ですよね。潔癖症ならよかったとか、その。私、あの、まなかさんとお付き合いさせていただいているんですが、手も握ってくれないんで、その、まなかさん本当は私のこと好きじゃないのかなって不安で…それに」
北条さんは俺をちらっとみて言葉を塞いでしまった。



*****


「ちょっとサノちゃん、どうしてここ?」
家に帰ってくるなり、玄関から、走ってリビングにくると兄さんはそう言った。俺は「兄さんに会いに来たんだよ」と適当な嘘をついた。北条さんはただ黙って頭を下げた。
「ごめんなさい」
「え、サノちゃんが謝ることなんて何もないよ。うちの姉と弟が変なことしなかった?」
「ええ、それは大丈夫です。お二人ともとてもお優しい人で」
北条さんがおずおずそう言うと姉さんは「北条ちゃん、かわぇえ」と叫んだ。
「あ、あの、そんなこと…ないですよ…っ」




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