第二話


学校から家に帰ると、俺の家の前に可愛い女の子がいた。
何をしているんだろうか、と一瞬気になったものの、兄さんの彼女さんかなって悲しくなる。
「あ!」
女の子は俺を見ると嬉しそうに手を上げて振った。
「え?」
俺は女の子に心あたりなんてなくて、周りを見渡した。もしかしたら、俺の後ろにいる人に手を振っている可能性だってあるのだから。
ま、俺の周りには今誰もいないから、俺に手を振っているんだろうけど…
俺の知っている子だったっけ。だとしたら、かなり失礼だな俺。
いちお、仮に間違っていたとしても無視をするよりはいいと思って手を振り返した。すると女の子は嬉しそうに俺のもとへと走ってくる。
「あ、あの、メグミくんですよね?」
「は…はい…」
「彼女とかいますか?」
「俺に、ですか?」
「ええ」
他に誰がいるのだろうと不思議そうに女の子は頷いた。
俺は正直に「彼女はいません」と答えた。すると女の子は意を決したように俺を睨みあげると「だったら付き合って下さい」と言った。告白されたと言うより、なんだか、喧嘩を売られたような気がする。気のせいだろうけども。
「すみません、俺、今年受験なんで彼女とか考えられなくて…」
スタンダードに断ることに決めた。なのに、女の子は俺の言葉を遮る。
「嘘、受験なんて余裕だと言っていたって、まなかが言って……ぁ」
「……兄さんの、彼女さん?」
俺は頭にキて、自分でもわかるくらいに敵意を醸し出してしまった。
女の子はびくっと身体を震わせると「そうです…」と申し訳なさそうに俯いた。
「最低だよ…何、彼氏の弟に、付き合って下さいなんて言うんだよ」
気持ち悪い。俺は自分の中の嫌悪感を必死にこらえた。

「その反応は…やっぱりこう言うのは私だけじゃないんですか?」




- 15 -


[*前] | [次#]
目次に戻る→


以下はナノ様の広告になります。
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -