12




「兄さん、俺、兄さんのこと好きだよ」
俺は兄さんの手を取ると格好悪く床に転げたまま告白した。
ずっと好きだったんだ。ずっと認められずにいたけれど…
さっき、キスして、わかった。
これは、恋。
だと思う。実際に誰かを好きになったことのない俺がそう断定していいのかわからないけども、恋人になりたいって思うんだから、恋でいいんだと思う。
たぶん。

「え、僕も好きだけど、急にどうしたの?」
不思議そうに瞬きをして、兄さんは言った。

いや、そうじゃないよ、と俺は兄さんの手を引っ張って俺の上へこけさせて、抱きしめた。
兄さんは抵抗しなかった。
「兄さん、ごめん、少しだけいい?」
もう少しだけ抱き締めさせてと耳元で囁く。
兄さんは「少しだけだよ」と言うと、俺の背中に手をまわしてくれた。

たぶん、兄さんに、深い意味なんてないんだろう。
ただ自分が寂しい時、俺に抱きつくから…。
同じだと思われているんだろうな…きっと。
「メグミはまだまだ大人ぶっても子どもだね」
兄さんにだけは言われたくない。
でも、聞きわけが悪い所とか、子どもかもしれない。
いつだって欲しがってばかりで。

「今日はありがとう。メグミと過ごせて楽しかったよ」

「いいよ、俺が誘ったし、俺の方が楽しんでたから」
「いいや、僕の方が楽しんでいたからね、そこは譲らないよ!」
ああ、もう、どうしてこんなにもこの人は可愛いんだろう。




- 13 -


[*前] | [次#]
目次に戻る→


以下はナノ様の広告になります。
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -