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…………と、いう夢を見た。とかいう、オチじゃないだろうかと俺は食事を終えて家に帰る道の途中で一人不安になった。だって、兄さんとこんなに居られたなんて小学生以来だったから、なんだか、現実味がわかない。
いつも彼女とメールや電話をして俺に構ってくれない兄さんだったのに、今日はずっと一緒に居てくれた。
でも、家に帰ったら、兄さんはまた誰かのところに行くのかな?

「どうしたの、メグミ?」
急に足をとめた俺に兄さんは心配そうに声をかけてくれる。
その時、兄さんの顔が、俺の顔の、ものすごく近くにあって、俺は、つい、兄さんの身体を掴むと、そのままキス、してしまった。
気がついた時には、ただの触れ合うような優しいキスじゃなくなっていて、俺は慌てて兄さんから唇を放した。

「ご、めん…」
俺は謝ったけども、兄さんは家に着くまで黙ったままだった。



*****


家に着くと、兄さんがいきなり後ろから抱きついてきた。
俺は驚いてバランスを崩す。
「…いっ」
床と、兄さんの間に挟まれて痛い目にあった。
すると兄さんは「反省した?」と俺なんかに笑いかけてくれた。
俺は、すごく反省していると何度も頭を下げる。もうプライドとかないな。うん。兄さんに嫌われたら、俺、生きていけないかもしれないし。
「なら、いいよ。でも『次は』今まで通りじゃいないからね…」
顔を赤くして兄さんは俺に手を伸ばしてくれた。自分でこかしておいて律義な人だな。全く。




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