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「疲れないの?」
先輩は急に真面目な顔をして聞く。俺は突然の問いかけにポカンとなる。
「はい?」
「だから、そういうのって疲れない?」
「えと…」
疲れないかと言われたら、疲れると答えてしまいそうになる。
でも、疲れるだなんて認めたくないし、俺は、ミハルのこと好きだから……
「まぁ、ナツが決めた人なら、それでもいいんじゃないの?」
考え過ぎるなよって先輩は苦笑いをしながら、俺の頭を叩いた。
すると俺はずっと堪えていた涙が流れ始めてしまう。
「す、すみません」
俺は謝って、顔を隠そうとする。
なのに、先輩はそれを阻止して、俺の顔をじっと見つめてくる。
どうしたらいいのか、わからなくて。
でも、涙は止まらなくて、俺はそのまま泣き続けた。
その日、先輩はずっと俺と一緒にいてくれた。
先輩がミハルだったらよかったのに、と考えた俺は、また自分が嫌いになる。
先輩に失礼じゃないか。
俺のことを心配して付き添ってくれていたというのに。
「今日はありがとうございました」
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