まぁ、いいか。
一人でぐちぐちしたって、ミハルと今日一緒に過ごせるわけじゃないし。
携帯をポケットから取り出して、誰かを呼ぼうとした。
だって、淋しいじゃん、やっぱり。

今日で一年だよ。

ずっと記念日は一緒に過ごそうねって決めていたのに。
俺、いろいろとこの日のためにデートプランとか立てて、服だって買ったのに。

「でも……」

携帯の電話帳を開いて、俺はすぐにミハルの携帯に電話をかけてしまいたい気持ちに駆られる。
何をしてんだよ、俺。
あー、やめた。やめた。
今日はもう誰とも会わない。
今日は、一人でこの辺ぶらぶらしてやる。

だって、ミハルの代わりなんて、俺は誰かに頼みたくない。

浮かれて買った服を着て、履きなれたスニーカー、ミハルに貰った鞄を持って、俺は一人町を歩きだす。
すれ違うカップルを見るたびに泣いてしまいそうになった。

そのくせに、ミハルから定期的に来るメールには明るく気にしていないふりで答える。

俺はきっとミハルに嫌われたくないんだと思う。
だから、我儘の一つも言えない。
怖いから、そういうの。
面倒な奴だって思われたくないし…




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