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ずっとこのままでいたい。
ミハルに抱きしめられたら、そう思ってしまう。

でも、杏梨ちゃんの声がして俺は慌ててミハルから離れようとする。
なのに、ミハルは俺を抱きしめる力を緩めるどころか、強く俺が離れないように抱き抱える。

「ミハル、どうしてきてくれなかったの?」

杏梨ちゃんは俺の聞いたこともない悲しそうな声で言う。
ああ、本当に、杏梨ちゃんはミハルのことが好きなんだなと改めて感じた。

「すぐにきてほしいって私言ったよね」

「え?」

杏梨ちゃんはすぐにきてほしいって言っていたのか?
だったら、どうしてミハル、こんなことろに来たんだよ。

「杏梨、ごめん。どうしても、ナツに会わないといけない用事があったんだ」

ミハルは俺を抱きしめたまま、背中越しに、杏梨ちゃんの言葉に答える。
杏梨ちゃんは、きっと泣き出しそうな顔をしている。
ミハルの腕の中で、俺の視界は遮られて何も見えないけど、そう思った。

「どうして? 今までずっと私のこと優先してくれていたのに…」

「してない。俺は、ずっと、ずっと、ナツのことを優先していた」

「え?」

「嘘……」




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