３４
「……でも、やっぱり」
「ナツ……」
「ミハルには杏梨ちゃんがいる」
「だから、なんでさっきから、杏梨の話ばかりするんだよ？」
「はっきり言って、ミハルは杏梨ちゃんのことどう思っているの？」
覚悟を決めて聞いた。
答えなんて知りたくないのに。
でも、聞かないといけない気がして。
「杏梨は可哀相な子だと思っている。だから、俺に出来ることがあればしてやりたいと思っている。ただそれだけで、それ以上の何かなんてないから。ナツ」
「じゃあ、ミハルにとっての俺も可哀相な子？」
「なんで？」
「ミハルは俺のこと大切にしてくれる。でも俺にそんな価値はないから」
「ある！ 俺はナツのこと何よりも大切に思っている」
「杏梨ちゃんは？」
「え？」
「杏梨ちゃんと俺なら、どっちが大切？」
最低なことを聞いていると自分でも、わかっている。最低だ俺。
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