３３
「ナツは俺のこと、好きじゃなかったのか？」
壊れてしまいそうな勢いでミハルは言う。
俺は「好きだよ」と口にする。
「好きだから、そうあった方がいいと、俺は、考えたいんだ」
「なんで？」
「なんでって、俺、ミハルには辛い思いをして欲しくないから。ミハルには、幸せになって欲しいから。俺、ミハルを幸せにできる自信ないから」
俺とずっと一緒にいるってことは、ずっとミハルを苦しめることになると思う。俺の母だって俺がミハルとこうして一緒にいることを本当は快く思っていないし。それから、それから……
「ナツ、俺はナツがいないと嫌だよ」
「ミハル……」
「ナツがいて、幸せになれないとかないから。俺はナツが俺を好きでいてくれて、俺のこと思ってくれて、それだけでいい。それ以上の何が、俺には必要だって言うんだよ。何もいらないだろう」
「でも……」
「結婚しよう。国が認めてくれなくても、二人で認め合えばいいじゃないか。誰かに反対されても、強く一緒に居よう。俺、ナツがいればそれでいい」
「本当に、いいの？」
「恋に障害はつきものって俺は考えているよ」
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