25




「そっか、よかった」

死ななくて良かった。杏梨ちゃんが死んだら、ミハルが悲しむし。

「…て、あまりいい話じゃないんだけど、無事でよかったなって思って」

「ナツ、ありがとう。杏梨のこと心配してくれて」

「いやいや」

俺が心配だったのはミハルだ。
ミハルのことだけだ。

「俺、夢中で走ってきただけで、お礼を言われるようなこと考えていない」

「じゃあ、俺の傍に来てくれてありがとう。すごく心細かった」

「俺なんかでよかったら、何時でもミハルのもとに駆け付けるぞ」

「本当に? だったら、ずっとそばに居て欲しい」

ああ、そんなの頼まれなくったって、俺もずっとミハルの傍に居たい。



『結婚できないのよ』



「あ……」

不意に杏梨ちゃんの言葉を思い出した。途端、俺は……




- 26 -


[*前] | [次#]
目次に戻る→


以下はナノ様の広告になります。
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -