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部屋着の上から適当にパーカーを着ると俺は家を飛び出した。ミハルはもう駅前にいる。電話の向こうでしたアナウンスは最寄り駅のお姉さんのものだった。
きっとミハルは今すぐにでも杏梨ちゃんのもとに駆け付けたいのに、勇気が出ないんだろう。
でも、俺も一緒に行ったら、杏梨ちゃんどう思うだろう。
ふと足が止まる。
また死にたいだなんて思ってしまわないだろうか?
「…………っ」
俺は意を決して走り出す。
俺がミハルと一緒に行くことによって杏梨ちゃんは傷つくかもしれない。
でも俺はミハルをほっておけない。
「ミハル!」
駅前に立っているミハルに俺は大きい声で呼びかけ手を振った。
ミハルは俺の姿を見た瞬間ホッとした顔をした。
「ナツ」
「で、何処の病院?」
俺は一刻も早く杏梨ちゃんのもとにミハルを連れて行かなくてはと気が焦る。
しかし……
「いや、さっき杏梨が意識を取り戻したみたいで、もう大丈夫だから来ないでって言われた」
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