21
「だいたいさ、男同士って何よ。ミハルの将来どうしてくれるわけ?」
「え?」
「え? じゃないわよ。本当に好きだったら、考えてよ。ミハル、一生結婚できないのよ。子どももあんたじゃ産めないのよ!」
「……あ」
「でも、私なら、できる。結婚も、出産も。世間体だって守れる。でも、ナツには出来ない。そんなこともわからないの?」
そんなことまで考えていなかった。俺、今が精一杯で、今をミハルといられることが幸せで、そんな先のことまで考えていなかった。
「それに、ミハルは私に何だって話してくれるんだよ。私の方がミハルとも長く一緒にいるし」
「でもミハルは、こんな俺のことを好きだって言ってくれた」
「だから、貴方に言うの。ミハルのことを思うなら、別れて欲しいって」
「……ごめん、できない」
「なんで!?」
「俺も好きだから、ミハルのこと。だから、離れたくないんだ、お互いに」
「もういいわ!」
半泣きになって杏梨ちゃんは走り出してしまった。杏梨ちゃんの悲しそうな顔を思い出して、俺は胸がチクリと痛んだ。
- 22 -
[*前] | [次#]
目次に戻る→
以下はナノ様の広告になります。