１８
ミハルが俺のことを好きだと言った。
当時は【罰ゲーム】だと思って、俺は笑ってしまった。
一年前のことだ。
『本気なんだけど？』
情けなく、ミハルが赤く染めた頬に、俺は変な優越感を覚えた。
ミハルみたいに何でも出来て、見た目も完璧で、誰からも好かれて。
そんな人間が、俺みたいな何処にでもいるような存在に、必死になるなんて。
おかしくて、嬉しくて。なんだか、俺ってとても価値のある存在に思えて。
ミハルの告白を受けとめたのは、俺のただのエゴだった。
付き合うことにしたもの、ミハルと同じ土台に立てるような気がして。
でも、いつからだろう。
夢中になっているのは、俺の方だ。
「ナツ、痛いって」
思いっきり抱きしめたら、ミハルに痛いと笑われた。
だけど、俺はしつこく抱きつく。
「……ナツ？」
どうしたの？ とミハルは心配そうに俺の頭をなでた。
俺は何でもないのだと首を振った。
言えない。だから、
「幸せだなって思って…」
俺はまた強がることにした。
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