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それから、何日か、俺はミハルの電話やメールに対して、反応を示さなかった。
心配したミハルが俺の家にやってきた時は本当に申し訳ないという気持ちが一杯で、心が押しつぶされそうになった。

「どうして、電話にもメールにも返事してくれなかったの?」

心配したんだよ、とミハルは俺の部屋に入るなり、悲しそうに言う。俺はどう返事をしたらいいのかわからない。杏梨ちゃんとの会話がまだ脳裏に焼き付いている。醜い嫉妬が胸の中で渦巻いている。

「べ、別に、とくに意味はなかったんだよ」

俺はわけのわからない返答をする。ミハルはそんな俺に対して優しく微笑むと「ならしかたないね」なんて言いやがる。
嘘だろ、それ。
違うだろ、普通は、電話やメールを総無視されたら、もっと、もっと、怒らないのか?

俺の反応なんてなくてもいいってこと?
ミハルには杏梨ちゃんがいるし、俺がいなくても平気ってこと?

「俺に構う暇があれば、杏梨ちゃんと一緒にいれば、いいだろ」

え、何を言ってんの?
俺。そんなこと思っていない。思っていない。

「記念日のデートさ、ドタキャンされた日にさ、見たんだよ。お前と杏梨ちゃんが仲良く歩いているのを。本当にお似合いだったよ。楽しそうだった。俺はお前の恋人でいることに疲れた。だから、そのまま杏梨ちゃんと付き合ってしまえばいいと思うよ、本当」

嫌だ、そんなの、嫌なのに。俺は虚勢ばかり……




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