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「……アンタって、正論が好きなの? それとも、ただの馬鹿?」
「え、と…」
「この際だから、言わせてもらうけども、私別に何処も悪くないわよ。ただね、大好きなミハルがとられて、悔しいから、嫌がらせしているだけなんだ。黙っていたら、アンタ馬鹿だから、伝わってないかなって思って、今日、言いに来たの」
「……な、何、それ」
俺は突然の真実に、奥歯を噛みしめた。
泣いてしまいそうだ。
悔しくて、馬鹿らしくて、憎たらしくて。
「お前な!」
心のままに叫べば、杏梨ちゃんはビクッと震えた。
「…あ、ごめん」
「べ、別に謝ってもらう筋合い、ないんだからね!」
「そ、そうだな」
「そ、そうよ、そういうことだから」
杏梨ちゃんはそれだけ言うと俺の前から去って行った。
俺は一人体育館裏に立ちつくして、考える。昨日の記念日も、杏梨ちゃんは知っていて、ミハルに嘘を吐き、俺からミハルを取り上げたのだろうか、と。その前の、誕生日のことだって、そうだ。いつも特別な日や、デートの約束をしている日は、杏梨ちゃんが体調を崩す。そうか、そうなのか……
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