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「……俺、タロに、逃げられたのも、拒否されたのも、かなり凹んだけど、いい。終わったことだし」

叔父さんはいきなり三日前の話をし始める。
三木くんは眉間にしわを寄せて、じゃ、と手を振りながら、何処かへと去っていく。
俺も、じゃ、と手を振って何処かへと去ろうかとしたんだけど…無理だった。

「タロ、何処に行こうとしている?」

「え、と…叔父さんのいない所」

俺は正直に答えた。

「どうして?」

叔父さんは直球に聞いてくる。

「だって、叔父さん、怒っているんだもん」

「そりゃ、そうだろ。俺がタロを救ってやりたかったのに。全部、あいつにとられた感じだし。それに、タロが!」

「……俺が?」

「嬉しそうだし…」

「…………そうだね。嬉しいよ」

俺は叔父さんに話した。
舞台から見渡す限りの大勢が敵でも、叔父さんが俺の味方をやめなかったことが嬉しかった、と。正直に、話した。




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