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「どうしてなんだろうな」

叔父さんはやり切れないといった顔で呟くと、天井を見上げた。

「俺はタロを幸せにしたいのに、できていないな」

「え…?」

綺麗な顔が、歪んで、かすむ。

「でも、幸せする方法なんてわからないから、せめてさ、タロの不幸せを取り除けばいいんじゃないかって考えたのに…上手くいかないし」

拗ねた子どもみたいに、冷たい目をして、言葉を吐く。



「いっそ、二人で、この世界から消えたらいいんじゃないかって思うよ」



強く、悲しい、瞳で叔父さんは俺を見つめる。
俺は怖いと感じることもなく、淡々と首を横に振った。

「きっと消えちゃえば、辛いことみんな忘れてしまえるんだろうけど…」

何度か考えたことだけど。


「このまま人生を切り捨てるのってなんだか、癪」




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