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「え、と?」

「俺はタロのことが単に好きだよ。甥っ子とか、じゃなくて、一人のタロとしてすごく大切。俺にとって特別。だから、タロを傷つけるものはみんな壊してしまいたくなる。許せるわけがないだろう、こんな学園」

「…でも、限度がある!」

「限度? 何それ。それを守ってもタロは救われるのかって話だろ?」

「…………」

「俺はやるなら全力が主義だ」

ユウダイ叔父さんからもらったメールに、俺を苛めた学園のここを真っ向から潰してやると書いてあった。でもそんなこと俺は望んでいない。俺は…

「俺はそうやって自分が後ろめたい想いをしたくない!」

実にこれも自分勝手な話になってしまう。
だけど、嘘じゃない。



「どうしてみんなが幸せになれないの…」



俺も苛められて辛かった。
でも、俺を苛めていた奴らも、幸せそうじゃなかった。楽しそうにしていなかった。やっぱり辛そうだった。辛かったんだと思う。
だって、人のことを苛めて、心の底から楽しいだなんてそんなの、有りえない。




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