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「あのさ、俺は、俺なりに気をつかっていたつもりなんだ。両親にも姉さんにもユウダ……叔父さんにも迷惑や心配はかけたくないし、嘘はいけないことだってわかっていたよ、でもね」

言えなかったのは弱さと甘え。だけど、俺は本当のことを言わなくても、どうせ伝わりはしないから大丈夫だって、思っていた。

「俺一人が我慢すれば済むことならば、俺は我慢する」

そうしたら、全て解決したような気がした。
どんなに辛くても頑張れた気がした。

「我慢できたんだ。なのに、どうして、今さら、叔父さんにばれちゃったんだろう…」

俺がこの学園で苛められていること。
俺は絶対にばれないようにしてきたはずなのに。
三木くんだって俺の意思を無視してまで、叔父さんに情報を流すような子じゃないのに。
どうして?

「今まで俺はいったい何に耐えていたんだろう」

馬鹿みたいだよね、と俺はかすれた笑みを浮かべた。



「心のどこかではこうなることを望んでいたのに…」



現実におこってみると怖くて足がすくむ。




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