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山田タロ。
川城ユウダイ理事の甥っ子。
生徒会長が全校生徒使って苛めている子。
副会長が気にかけている子。
双子が家柄をねたんでいる子。
会計が容姿を嫌っている子。
俺は、生徒会のみんなが大好きだ。上手に話すことのできない俺のことを受け入れてくれた。だから、生徒会のためなら何だってする。俺は生徒会の一員だ!
「ごめん…おれ、生徒、会の…書記なん、だ」
「あー…はい」
何かを悟ったかのように曖昧にタロは笑う。
俺は申し訳ない気持ちでいっぱいになりながらも彼に宣戦布告を捧げる。
「君とは仲良くなれる、かもと、思った。でも俺は、生徒会が大切だから。たとえ、彼らが間違っていようと俺にとったら大切な人達だから。だから、ごめんね」
「謝らないで下さい。そんな誠実な、理由を教えてもらえたら、俺は」
怨めないですよ、とタロは言ってくれた。なんて、いい子なんだろう。
もっと違う何処かで出会いたかった。
「……さような、ら」
俺は震える声で告げる。
彼はしかたないといった顔をして、手を振ってくれた。
どうしてこんなにも、いい子を、みんなして苛めているんだろう?
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