俺は慌ててメガネをかけなおすと立ち上げって微笑んだ。
すると「キモオタ」と声が聞こえた。
なかなか可愛いあだ名だと思った。

「あ、ありがとう、俺にあだ名つけてくれて。気軽に呼んでね」

何故か、俺が歩いていた通路に片足を出している男子生徒に俺は振り返ると言った。なんだ、自己紹介の時、誰も拍手してくれなかったから、受け入れられていないのかなって思ったじゃないか。

「は?」

急に何を言いだすんだって顔をして、男子生徒は俺を見つめた。

「嫌味のつもりかよ、お前!」

「え、嫌味って…?」

「……っもういい、早く座れ!」

怒らせてしまった。どうしてだろう。
よくわからないけども、ずっとこんなところにいるのも駄目だろうし、俺は自分の席に着いた。
すると、目の前に座っている男子生徒が俺の方を向いて笑ってくれた。

「俺、そういうメガネ好きだよ」

「え、ありがとう。これ、姉がくれたんだ」

「いいなー。て、あ、俺、渡辺ナオ。よろしくな」

「うん、こちらこそ!」




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