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=本宮ナツキside=


緊張すると言葉が上手に話せなくなってしまう。
そのせいで、特に緊張するようなことがなくても、上手に話せなかったどうしようという強迫観念めいたもので、俺は言葉を話すことができなくなってきている。でも、話せたらいいのになって、思う。

……とか言って、結局、俺は隠れて一人で夜ごはんを食べているわけで。

食堂の裏道で、俺は一人、食堂の中の楽しそうな声を聞く。
俺もそんな風になれたらいいのに。
切なさばかり、ここにあって、なんだか、悲しいな。

誰かと話したいと思っている癖に、話しかけられることが怖い。
それは本当に馬鹿みたいな話で。

俺、結局、どうしたいんだろう。
わからなくなってきた。

「本宮!」

すごい形相で走ってきた副会長を見て、俺は箸を地面に落としそうになる。
いつも澄ましている副会長が、どうしたんだろう。

「本宮、こっちに誰か来ませんでした?」

俺は首を横に振って返事をした。
言葉を発することが怖くて、また、できなかった。

「そうですか、お邪魔しました」

俺はまた首を横に振った。
副会長は俺が、一人でいることが好きなんだと勘違いしている。勘違いさせるような態度をとっている俺自身に問題はあるものの、やっぱり切ない。




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