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『ヒサシ、に、変なこと言われていないか?』
「………」
必死な声に、ムッとした。
「別に、何も言われていないけど」
『そ、そうか』
なら、よかった、と言う叔父さんにイライラしてきた。
こんな感情を俺は知らない。
「ていうかさ、叔父さんには、関係ないでしょ?」
『…そうだな』
「いちいち電話してこないでよ」
『わかった』
そう言い終わるとともに、叔父さんは電話を切った。
ふと我に帰って俺は酷いことを言ってしまったと、落ち込む。
でも、叔父さんが悪い。俺は何も悪くない。
俺と話しているのに、三木くんのこと必死に聞くから。
……なんで?
あれ、なんで、俺はこんなことに怒っているんだ?
別に構わないじゃないか。叔父さんが俺に、三木くんのこと聞いたって。
三木くんは叔父さんの秘書なわけだし、それくらい…心配されていたって。
俺が腹を立てるようなことじゃないのに。
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