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「いや、やっぱり、面白いって」
寮に帰ってから、三木くんは俺を励まそうと必死だった。
落ち込んでいることなんて、俺にしてみれば日常だから、気にしないでほしいのに。そう言ったのに。彼は、不器用にいろんなことを語った。
「俺なら、カツラとメガネ、受けるんだけどなー」
何がいけなかったんだか、と三木くんは俺の頭にカツラをのせて言う。
まじまじと瞳を覗きこまれて、俺は恐縮している。
「あ、そうか」
「……?」
「ギャップがあるのがよくなかったのかもしれない」
俺の顔のメガネを触りながら、三木くんは考え込んだ。そして、
「あー、本当にガキ、うぜぇ」
急に頭を抱えて毒を吐く。
三木くんだって、俺たちと同じ歳なのに。
みんなのことどうしてガキ扱いするんだろう。
「俺だったら、そんなことしないのに」
「え?」
「タロくんが可愛いからって、いじめたりしないのになって」
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