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=三木ヒサシside=


やべぇ、こいつら、ガキだ。
今、制服着て俺はここにいるわけだが、どうしよう。
絶対に、俺からは学生臭が出ていないだろうな。
完全に擦り切れた大人になっているわけだし。

タロくんもこれくらいの苛めでビクビクする必要ないのに。
相手にするだけ無駄なのにな。

ていうか、タロくんの前の席にスポーツ少年とか、座っていたけど、何さ、俺がタロくんに関わると不機嫌なわけ?
苛められていても何もしてやらないくせに。
俺が代わりにやると気に食わないって言うのかよ、馬鹿じゃねぇの。
本当まじで。
しかもタロくんに当たるなよな、みっともない。
ただ歯がゆいだけなんだろうけど。

「決めた。タロくんは俺が守る」

あえて、俺はみんなに聞こえるように言ってやった。
教室中がざわめいて、スポーツ少年はものすごい形相で俺を睨んだ。
副会長も面白くないと言った顔をしている。
やべぇ、俺が面白くなってきたかもしれない。

「テメェも同じ目に会いたいって言うのかよ!」

「?」

廊下から声がして、俺はそっちを向いた。やっぱり生徒会長のお出ましだ。
親衛隊だろうか、みんながキャーキャー騒ぎ出して耳が取れそうだ。
俺はどう返事を返せば、面白いかを考えていると、タロくんが必死になって「三木くん、は、何も関係ないです。巻き込まないで下さい。それだけは、お願いします」と言った。俺、少し、タロくんの優しさに、ほだされそうになった。




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