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「ナオ」
どうしてだろう。俺は立ち上がったナオに声をかけた。
するとナオは「話しかけないでくれ」と言う。
俺、どうしてこんなにも、ナオに嫌われてしまったのだろう。
ごめんね、とは言えなかった。そもそも謝罪すら、会話の一部だ。
「イライラする」
優しかったナオからは想像もつかない声で聞こえた。
俺は、ナオに申し訳ないと思った。
だってあんなにも優しかったナオをこんなにも怒らせたのは俺だ。
「タロくん、ご飯に行きましょう」
作り笑い全開の副会長がやってくる。俺は「丁重にお断りします」と言った。
「といいますか、机、ずいぶん、ご立派になりましたね」
不機嫌そうに俺のもとに副会長が歩いてくる。
断られたのが、プライドに傷をつけたのかもしれない。
だが、俺は謝らない。もとはと言えば、そっちが悪い。
「掃除した」
これが本来有るべき姿だ、と言いながら、焼却炉から帰ってきた三木くんが、俺と副会長の間に割り込む。先輩相手にため口で。
それがさらに気に食わなかったのか副会長は眉間に眉を寄せ、それでも笑顔を絶やさないでいようと励んでいる。はっきり言って、疲れると思う。それ。
「といいますか、まだ、お昼休みまで3時間あります、副会長」
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