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「そうか、思いついた! ヒサシ、ちょっと第二学園行って来てくれよ」
「は?」
「いいじゃん、一カ月は暇だろ、お前」
「暇じゃありません。ここの仕事だけが俺の仕事じゃありません」
「じゃあ、俺が依頼人になる」
「まじで?」
久しぶりの依頼人だ、とヒサシはウキウキと契約書を出した。
ヒサシは、探偵になるのが夢らしい。でも、依頼はめったに来ないため、自称探偵になっていることに日々、奥歯を噛みしめていた。
「とりあえず、どういったご用件で」
普段は使わない理事長室のソファに二人腰かけて、向き合う。
「タロ、が変な奴にからまれていないか、見てきてくれ」
俺は第二学園の制服を指差した。するとヒサシの握りこぶしの音が聞こえた。
「………俺は20歳です」
「お前、20歳に見えないし、大丈夫だって。それに似合うと思う。あ、手続きのこと? 大丈夫だって、俺が詐欺っとくし」
「職権乱用ですよ」
「知りませんよ」
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