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でも、心配なんだ。
タロは明るくていいやつだから、変なことに巻き込まれていないか。
たとえば、転校初日に、席が前だった爽やかスポーツ少年に学園を案内されて、それで仲良くなったりしちゃって。次に、食堂で生徒会のメンバーと出会ってしまったりして。
会長に気に入られたりして。会長の親衛隊から嫌がらせが始まったりして。
で、で……。
「…………」
「気持ち悪い顔しないでください。迷惑です」
夕日の色に染まった彼の後ろ姿を見ていて、タロを思いだす。
俺がタロのことを好きだと確信した、あの時を。
「ヒサシ、どうして恋は同性相手でもできるんだろう?」
「……俺にはわかりません。ええ、さっぱり」
「あ…、ごめん」
どうしてか男にばかり好意を寄せられているヒサシを前にして俺は謝ってしまった。するとヒサシは「俺に謝ることない」と言ってくれた。
「どうせ、ただ、タロくんが、男に言い寄られるんじゃないかって心配なんでしょ?」
「そうなんだよ、そう。今だって学園で上手いことやっているみたいだし、あいつ天然だし優しいし、間違って、ほら、勘違いして、さ」
手を出されたら、どうしようって、心配で。
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