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……音がしている。
携帯の着信音。
なんだろう、誰だろう。
俺のことなんてほっておいてくれたらいいのに。

「……ユウダイ?」

携帯のディスプレイに灯る文字に俺は泣き出しそうになった。
縋りたい。ここから連れ出してほしい。
もう、あんな学園になんて行きたくない。
でも、叔父さんが作った学園に対してそんなこと言えない。
叔父さんがどんなに頑張ってここまで学園を大きくしたか俺は知っている。
じゃあ、どうしたらいいんだ?

「………」

どうもしなくていい、と俺は思った。
俺も子どもじゃないんだ。自分のことは自分で何とかしないと。

「もしもし、叔父さん?」

いつも通り、元気に明るく俺は努める。

『タロ、声が少し変だ』

「そう? 昨日、みんなではしゃぎすぎたからかな」

俺は嘘をつく。かつて学園を訪れた時に思い描いた話を、さも、今叶っているかのように。俺は嘘をつく。
叔父さんを安心させたいんじゃない。
ただ本当のことが言えないだけ。
叔父さんだけは変わらず、俺と接してほしいから。今も、これからも。ずっと。




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