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という、自分の考えがいかに甘かったかを知ったのは、副会長と一緒にご飯を食べることに決めた後、食堂の椅子に座ったからだった。
周りの視線が痛い。きっと、みんなの視線は俺を突き刺す凶器だ。
「どうされたのですか? 私と一緒にお昼を食べるのはそんなにも楽しくないでしょうか?」
「いえ…」
どちらかというと楽しい方だとは思います。
俺、一人、嫌いだし。でも、しかし、全く落ち着ける状況ではない。
「……まあ、貴方には同情していましたよ」
「はい?」
「しかし、私は貴方が嫌いです」
「そうですか」
少し傷ついた。でも、面と向かって正直に言われたことに、俺はほんの少し、喜んでいた。いや別に、痛いこと言われて喜ぶとか、そんな変な性癖を持っているとかじゃなくて、ここ最近、俺に嫌がらせをするくせに隠れているっていうか、正々堂々こうやって、この人みたいに向き合ってもらえないっていか。
「だから、私は会長の肩をもつことにしました」
「わざわざ、ご報告ありがとうございます」
俺はオムライスにスプーンを突き刺して、答える。本当は今にもここから逃げ出したいほど怖くてしかたないのに。やめて下さいって言いたいのに。でも、俺が何をしてもこの人は止まらないのだとわかってしまった。
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