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顔を赤らめて、ナオは俯いてしまった。
「ナオ、ありがとう」
「……いいから、ほら、用意して」
「ああ、ちょっとまって、カツラかぶるから!」
人生で初めて、こんな言葉を使ったと、むず痒さを感じながら、微笑んだ。
本当だね、姉さん。姉さんが言った通り、カツラとメガネつけてきてよかったよ。
ナオみたいに俺のこと真剣になって考えてくれる友達の存在に気付かせてくれた。
「じゃあ、行こうか、おなかすいたよ」
「待て」
「え?」
勢いよく、腕を引っ張られて、俺は壁に押し付けられた。
ナオは怖い顔をしている。
俺はどうしようと少しだけビクついた。
「メガネ、忘れているぞ」
「あ…」
しまった。メガネをかけないと、とか思っていたら、ナオが俺にメガネをかけてくれた。なんて、面倒見のいい奴なんだろう。
「タロ、頼むから、メガネとカツラはちゃんとしててくれ」
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