７
すっかり力がなくなった手でドアを開けようとしたら、上手にドアノブがひねれませんでした。
「鍵はもう開けたんだが…」
ドアノブが上手に回せないと言おうとして、俺は固まりました。
気配がなくなっていました。
さっきまですぐそこに有った、迷惑男の気配が。
冗談じゃない。
信じた瞬間、裏切った！
「………マジかよ」
勢いよく開けたドアの前には誰もいなかった。
「ふふ、あはは…」
馬鹿らしい。
俺は何を期待していたのでしょう。
浅はかですよね。
あれほど、信じたら後悔するって、言い聞かせていたのに。
「いたずらか…」
すっかり騙されたなと言いながら、俺は扉を閉めました。
そもそも考えてみれば、わかることなのにな。
俺なんかのストーカーだなんて設定自体がおかしい。
『はい、いたずらです。すみません』
「え、ええ！？」
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