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最低だ。
俺は心の中で繰り返した。
「俺はこんな風になりたくなかった。だから、俺はこんな風になった自分自身が気持ち悪い。信じられない。怖い」
「東條さん!」
「!?」
強く抱きしめられて言葉を失った。
「俺にできることありますか?」
「は?」
何を言いだすんだと俺は、平常心なら言っただろう。
だが、今は「放すな」と呟いてしまった。
「放さないですよ、頼まれたって、放さないです」
「?」
「どんなに貴方に嫌われても俺は好きです。どんなに貴方と喧嘩しても俺の気持ちはかわらないです。だってどうしようもなく好きなんです。きっと貴方のためになれないこと多いだろうし、傷つけることもあるだろうし、不安にされることもあるだろうし、憎むこともあるかもしれません。でも、根底にある気持ちは、そんなにも簡単に変わったりなんてしません!」
「く、黒田…」
馬鹿な俺。黒田の背中に手を回す。本当、幸せで愚かな俺。
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