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人目につかない路上裏まで走ると、奴は立ち止まり俺の肩を掴んだ。
「昨日一緒にいたのは、俺の姉さんです。だから恋人だとかそんなんじゃないんですよ」
「……嘘だろ、それ」
「本当ですよ。貴方相手に嘘なんてつけないですよ、俺」
「じゃあ、なんで、あの時すぐにそう言ってくれなかったんだよ!」
「だから、すみませんって」
「何それ、だからって、どういう意味だよ!!」
「……貴方の反応が見たかったんですよ。すみません」
「え?」
俺の反応が見たかった?
「お店に来てくれた時から、なんか落ち込んでいるような顔をしていたし、でも口を開いたら空元気に怒っていたし、なんだか、それって、まるで俺が女の子といたのが気に食わないようで、つい…確かめたくなって」
「はぁ!?」
「反論は受け付けませんよ。だって、ずっと貴方を見てきた俺が言うんです。あたっていますよ。貴方がどんなに認めたくなくても、貴方は…」
「そうだよ、好きになったみたいだな。馬鹿みたいだ。最低」
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