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いつの間にか俺の家の中にいる、迷惑男に俺は間抜けな顔をします。
『なかなかドアが開かないみたいだったので、窓割っても入ってこようかなって思ったのですが、窓あいていたので、そこから入ってきました』
「いやいやいやいや!」
『なんですか?』
「なんななんあ、なんで?」
『なんで、とは?』
「いやだって、お前じゃない、貴方は…」
好きな子がいました。
でもその子は遠くへ行ってしまいました。
なのに、今、俺の目の前にいます。
「東京に行かれたのではなかったのですか?」
『え、俺が?』
「だって、出張で決まっていて、それで、それに、あれ?」
『どういう噂を聞かれたかわかりませんが、俺は東京にはいきませんし、そこに彼女がいるってこともないですよ?』
「え?」
『噂は噂です。こうして初めて話してみて思いました。貴方はやっぱり俺が好きになった人だなって』
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