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「あ、俺、荷物置いてきますね」
このまま総司さんと一緒にいるのが辛くて、俺は走り去ろうとした。
なのに、総司さんは俺の腕を掴む。
「総司さん?」
と、振り返れば、真剣な顔をした総司さんがいる。
俺はどうしたらいいのか、わからず固まった。
「俺は、ヒロと一緒に住むようになって…変わった」
「え?」
ドクンドクンと心臓が鳴りだす。
俺、顔面大丈夫だろうか?
「ちゃんと笑うようになった。ご飯もちゃんと食べるようになった」
少し体重増えたんだと、総司さんは言う。
その表情がとても優しくて、幸せそうで、俺は、胸の中が痛くなった。
幸せだから、じゃない。
「なんて、言ったら、ヒロには重かったか?」
「いえ、そんなこと」
「だったら、どうしてそんな顔をするの?」
「俺、俺が総司さんの、ことが、好きだから」
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